2020.08.23
おえかきミュージアムその17「国連VTOL機」
おえかきミュージアムでは、スタッフが交代で「おえかき」をしてミュージアムのご案内をしています。
今回紹介するのは空想機械学に展示されている「国連VTOL機」です。
国連VTOL機/妖星ゴラス(1962)©TOHO CO.,LTD.
「国連VTOL機」は、1962年公開の映画『妖星ゴラス』に登場する飛行機です。
VTOLとは垂直離着陸機の略称で、「国連VTOL機」は主翼とカナート翼(前翼)の各翼端にエンジンナセル(エンジンが入った筐体)が計4基ついており、それを地面と垂直方向に向けることにより、機体を水平に保ったまま垂直に離着陸することができます。
同じエンジンだけで水平飛行も垂直離着陸も可能な、現代でも夢のような飛行機です。
劇中、謎の星「ゴラス」が地球に接近し、このままでは衝突するという危機を迎えます。
この危機を避けるために地球移動の推進装置を南極基地に設置しますが、怪獣マグマがそこを襲います。その際、出撃するのが国連VTOL機です。
「国連VTOL機」は、60年代らしい丸みを帯びた0系新幹線にも似た愛らしい形をしています。
後に「国連VTOL機」と同じ木型を使って、『ウルトラマン』に登場する「ジェットビートル」がつくられました。エンジンやアンテナ、塗装は異なりますが、機体は同じ形をしています。
「国連VTOL機」が展示されているのは、空想アトリエの「空想機械学/空想の空を飛ぶ」のコーナーです。
同コーナーには、特撮作品に登場する空想世界の飛行機と現実の飛行機の模型やグラフィックを展示しています。
大空を飛ぶことは古の神話の時代から、長い間人類の夢であり、空想世界の出来事でした。
ライト兄弟の有人動力飛行の成功以降、航空技術は急速に発達し、今では誰もが飛行機に乗れる時代になりました。
特撮作品には、現実の科学技術を反映し、時にはずっと先を進んだ様々な素敵な飛行機が登場します。現実の飛行機と見比べてください。
ここで紹介したVTOLも単なる架空の存在ではなく、現実世界でも様々な技術を用いて開発されています。航空機や戦闘機だけではなく、現在ではドローンのような身近なものにも採用されています。
映画の世界のVTOLと現実のVTOLがどう違うか調べてみるのも楽しみの一つではないでしょうか。
書架には飛行機に関する本が、絵本から専門書まで幅広く置いています。
「ヒコーキ少年」だった英二監督が、少年時代からあこがれ続けた飛行機をいろいろな視点からお楽しみください。
今回の「おえかき」は、ミュージアムで社会体験研修を行った、公立幼稚園の溝井先生が描きました。
スタッフの小林がご案内しました。
次回をお楽しみに。