エレベーター前入口に2月のおすすめ本コーナーを設置しました。

怪獣やメカの模型、グラフィックを展示している「空想アトリエ」。
このコーナーでは、「空想生物学」「空想機械学」「特撮天文学」「特撮映像学」「特撮世界と環境学」の6つの架空の学問を設け、それぞれのテーマに合わせた展示をしています。
展示棚は書架にもなっており、展示に合わせた本を配しています。

2月は、その6つの学問のうち「特撮世界と環境学」から、おすすめの本をご紹介します。

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「特撮世界」と「環境学」。一見結びつかない2つのテーマですが、どんな関りがあるのでしょうか。

1954年公開の「ゴジラ」は、同年3月に起きた水爆実験による第五福竜丸の被ばく事故の影響を受けて制作されたといわれており、作中では水爆実験が原因となり出現した怪獣『ゴジラ』が災厄として人間に襲い掛かります。
また、1971年公開「ゴジラ対ヘドラ」に登場する怪獣『ヘドラ』は、海のヘドロから生まれた怪獣で、別名公害怪獣とも呼ばれています。物語は当時大きな社会問題となっていた公害がテーマになっています。
そして、2016年公開「シン・ゴジラ」では、現実に近い世界に『巨大不明生物』が出現したとき、政府や自衛隊はどのように対処していくのかがリアルに描かれており、東日本大震災にともなう東京電力福島第一原子力発電所の事故とその対応も参考にされた作品です。この作品に登場する『ゴジラ』は太古の昔より生き延びた海棲生物が、海底に投棄された放射性物質を摂取して異常進化を遂げたものと推定されています。
このように「特撮世界と環境学」では、特撮作品は時に『怪獣』を災厄の化身として描き、科学技術の発展の陰にある公害のような環境問題や原水爆、放射能問題など、現実世界に対し、『怪獣』という虚構を通して警鐘を鳴らしていることを紹介しています。

書架には環境学の本をはじめ、絶滅動物をテーマにした本や東日本大震災に関する本、水や大地にまつわる本など、様々な本が並びます。

今回おすすめするのは、「かくれた次元」、「かわ」、「プラネット・アース」、「夜の工場百景」、「動物の箱舟」、「ダンゴウオの海」の全部で6冊です。(蔵書検索・予約はこちらから)
このコーナーを通して、特撮作品を新たな目線でご覧になってみてはいかがでしょうか。