おえかきミュージアムでは、スタッフが交代で「おえかき」をしてミュージアムのご案内をしています。

今回紹介するのは空想機械学に展示されている「スーパーメカゴジラ」です。                        

スーパーメカゴジラ

数々のゴジラ作品に登場する「メカゴジラ」は、名前のとおり「ゴジラのような形をした機械」です。

複数の映画のタイトルを飾る人気怪獣で、基本的に「メカゴジラ」と表記されるため少しややこしいのですが、この記事で挙げている「ゴジラ対メカゴジラ」は70年代、「ゴジラvsメカゴジラ」は90年代、「ゴジラ×メカゴジラ」は2000年代のそれぞれ別の作品です。

メカゴジラが初登場した、1974年公開の『ゴジラ対メカゴジラ』では、宇宙人が地球侵略のために送り込んだ兵器ですが、1993年公開の『ゴジラvsメカゴジラ』以降は人類がゴジラと戦うための兵器として開発されています。

「スーパーメカゴジラ」は、93年の『ゴジラvsメカゴジラ』に登場します。

これは、前作『ゴジラvsキングギドラ』に登場した「メカキングギドラ」から得た未来のテクノロジーを基に設計された「メカゴジラ」が、対ゴジラ兵器「ガルーダ」を背中に合体し強化された姿です。

肩や腰の発射口からミサイルを放つゴジラ離れしたメカらしさと、口から熱線を放つゴジラらしさを併せもった戦い方が描かれています。

ゴジラとの戦闘では、「Gクラッシャー」という武器でゴジラを一度は戦闘不能に追い込むという大戦果を挙げます。

この作品は、「vsシリーズ」と呼ばれる作品群に属し、vsシリーズの中ではゴジラと戦うために人類が作り上げた決戦兵器が複数登場します。

「ガルーダ」はこの系譜に連なる現代人類製メカですが、未来のテクノロジーを併せ「メカゴジラ」が作られ、持ちうる技術と未知の技術を合わせた総力戦とも言える「スーパーメカゴジラ」でゴジラに打ち克とうとしました。

なお、2002年の『ゴジラ×メカゴジラ』に登場するメカゴジラ(機龍)は、人類側の兵器という点は共通ですが、ゴジラの骨格をもとに造られています。93年のメカゴジラが未来の技術で作られているのに対し、機龍は宿敵ゴジラのDNAそのものが根幹になっています。

メカゴジラ/スーパーメカゴジラの造型

スーパーメカゴジラの造型の注目点は、本体となるメカゴジラそのものです。

まず、メカゴジラは元祖である74年のメカゴジラがリベット(鋲)をたくさん打ったようなパネルラインの目立つデザインであるのに対し、93年のメカゴジラは丸みを帯びた彫刻のようなデザインに変化しています(これをアール・デコ風と表現している記述も見られます)。

飛行機の外装がリベット止めだった時代から、技術の進歩でプレーンな外装に変化していったことを連想させます。

撮影用スーツは、両方ともFRP(繊維強化プラスチック)でメカ感を表現していますが、74年は関節部分が蛇腹で処理されているのに対し、93年は球体状の関節で、肘や足首等が動く際には内部に滑り込む等、動きの表現が格段に進歩しています。

ミュージアムでのスーパーメカゴジラ

スーパーメカゴジラは、円谷英二ミュージアムでは「空想機械学/空想のロボット技術と未来」のコーナーで展示しています。

「空想機械学」では、映画に登場するメカ(架空の飛行機や宇宙船等)やメカ怪獣が、どのような発想で生み出され、現実の機械と異なることや共通すること、逆に現実の機械に与えた影響等を展示に反映しています。

その中でも、スーパーメカゴジラを展示する「空想のロボット技術と未来」では、異なる年代に作られた架空のロボットから、ロボット工学の発展を見て取れるよう、同じモチーフのメカ怪獣を新旧並べて展示しています。

スーパーメカゴジラは元祖のメカゴジラと対で展示しており、外見の表現の仕方や、内部構造のイラストの変化からも、時間の経過と技術の進歩を感じ取れます。

特撮映画に登場する架空の兵器は、現実の延長線で作られたものが数多くあります。現実の科学の発展し、それに対する理解が深まることで、よりリアルに説得力のある架空の兵器が生み出されることに繋がっています。

今皆さんが100年後の未来の技術を想像するとしたら、どんな未来を想像するのでしょうか。その未来に説得力を持たせるとしたら、やはり今の技術を学ぶことが欠かせません。

円谷英二ミュージアムでは、気軽に読める本から学びを深めるための本まで多くの本を配しています。興味を持ったものを掘り下げる場所としてもご活用ください。

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